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茶談義vol.3 〜生産者インタビュー 矢野 茂登司さん
茶談義とは・・・お茶に関する話題や談話、またはお茶を飲みながら行う談笑のことを指します。他には茶道における作法や流派、歴史など作動に特化した話題のことを言います。
ここでは各地の生産農家さん、茶問屋さんなどに店主自らお伺いして話しを聞くコーナーです。
インターネットに載せれる範囲のことはなるべく載せていますが、ざっくばらんな茶談義ですのでここでは書けなかった(インターネットには流石に載せれない)こともいくつかあります。そんな話はまたいつかどこかで。
日本の緑茶発祥の地と言われる京都府南東部のまち「宇治田原町」。
この地域の抹茶は当店では矢野製茶場(https://maru-take-ebisu.shop-pro.jp/?mode=cate&cbid=2944256&csid=7 )として、お買い求めやすい低価格帯から茶会でもお使いいただけるセレモニアルグレードまで広く取り扱っています。
今回はこの町で先祖代々 茶農家として営む、矢野 茂登司さんへのインタビューです。
矢野 茂登司さんについて

Profile:
矢野製茶場は奈良と滋賀の県境も近い宇治田原町で茶の栽培と加工を一貫し少人数ながら堅実で品質の良いお茶を作り続けている茶農家です。矢野 茂登司さんはこの町で先祖代々 茶農家として、家族と数人の従業員で営んできました。
製造から加工、販売まで手掛けています。
矢野製茶場
矢野さんの茶畑は宇治田原の山裾に広がりその面積は1ヘクタール以上、わかりやすく言うと「サッカーのフィールド2つ分の広さ」を持っています。

矢野さんも高齢で畑はこれでも小さくしたそうですが、その面積の畑を今も一人で管理し肥料を与えたり草を取ったりと日々働いています。
そして、矢野さんも先の吉田利一さんと同じで1番茶だけを摘み、茶の樹に負担となる2番茶はやらないというのがこだわり。
水出しの玉露について
8月末というのに35度近い猛暑となったこの日、茶談義として矢野さんに出してもらったお茶は水出しの玉露。

まず出てきたポットに茶葉がびっしり入っているのに驚きます。
適当に入れているらしいですが「おそらく30gは入ってるんちゃうかな」とのことです。
1リットルポットに底2センチくらい茶葉を入れてあとは水を注ぎ冷蔵庫で冷やすだけだそうです。
水出しでいただいた冷茶は茶葉が多いのと、茶葉の質がいいので急須で淹れた時と同じくらいの旨みがとても美味しい 。
「これくらいすると美味しいんですよ。煎茶とかだとこれだけ入れると渋みが出るんですが、玉露は覆いをかけることで渋みがないので濃くてもまろやかになります。 この玉露の茶葉が少ないと”単に水臭くなります”。うまいなと感じるならこれくらい(30g)入れないとダメなんですよ。でもね、皆さんに美味しい言われるけど、だからと言ってこれ売ってと言われたら高くついて売りもんにならないですよ」
茶農家さんだからこそできる贅沢な飲み方です。
矢野さんに普段何飲んでいるか聞くと、この玉露かほうじ茶だそうです。
前回と同じくコーヒーを飲むか聞いたら、「まぁ、好きですけど自分では飲まない」とのこと。
ただ、袋詰めなどを手伝ってくれるパートさんたちが休憩用に飲むのはインスタントコーヒーだそうで、 これを矢野さんもたまに飲むそうです。 なぜか聞いたら「パートさんは洗うのが楽だから」とのこと。茶葉はやはり洗い物が面倒で、主婦の方らしい意見だと笑ってました。 さらに前回と同じく麦茶は飲むか聞いたら、「飲まない」という答え。
矢野さんは子供の頃からずっとほうじ茶で育っているので、今でも麦茶は飲まないそうです。「コーヒーも出されたら飲むけどこだわりは何もないです。育ってきた環境ちゃいますかね」と明るく話してました。
矢野さんのおすすめする抹茶
矢野製茶場のラインナップの中で、矢野さんが最もおすすめするのは「雲上の鶴」 。手摘みでつくられる抹茶で、「上品」という言葉が似合う味わいだといいます。
ただし矢野さんご本人は「茶農家としては高級感とか“上品”という表現はよく分からない」と率直に語ります。
判断基準はシンプルで「美味いか、不味いか」。上品か下品かは、その美味しさとはまた別の物差しのようです。
「たとえ“下品”でも美味しい抹茶の方が、飲み始めの人には分かりやすいと思う」と笑う矢野さん。
抹茶好きな人からは「上品で美味しい」と評価されることもあるそうですが、ご本人にとっては言葉よりも実際の味がすべて。
おそらく“上品・下品”というのは、抹茶としての分かりやすさや飲み手の好みによる違いなのかもしれません。矢野さん自身が「美味しい」と感じるのは、「宇治の昔」よりもさらに上の価格帯にある抹茶だといいます。
味は抹茶ではなく碾茶で決まる
矢野製茶場の抹茶には「香雲の昔」と「鳳雲」という、同じ価格で異なる名前の銘柄があります。しかし実際に飲んでみても違いは分かりにくいもの。 なぜ似た味の抹茶が複数あるのかを矢野さんに尋ねると、「粉にすると分かりにくいんですよ」という意外な答えが返ってきました。

抹茶は石臼で挽かれた“粉”の状態になると、個性が隠れてしまいやすいのだそうです。
そのため、 実際に味の評価が行われるのは、粉にする前の碾茶の状態。全国の品評会でも審査は碾茶で行われます。
審査方法は独特で、拝見用の茶碗に碾茶を入れ、湯を注いで数分待ちます。その際に 茶カスの色や香りを確認し、抽出されたお茶の色や味わいで品質を判断します。
粉末ではなく、湯で抽出された状態で評価するからこそ、抹茶に仕上げたときの印象はまた変わるのです。
つまり「香雲の昔」と「鳳雲」の違いは、 抹茶になってからでは分かりにくいものの、碾茶の段階では明確に区別できるということ。抹茶の味わいの根幹は、実は碾茶の品質にこそあるのです。
この地域で矢野姓は茶に関わる一族
矢野さんのご家族は代々、茶に深く関わってきました。
お父さんの実家は玉露加工場、お母さんの実家は碾茶加工場を営み、地域に根ざした茶業の伝統を受け継いでいます。 茶農家は茶葉を収穫するだけでなく、荒茶まで仕上げるのが一般的で、矢野製茶場でも春に収穫した茶葉を自社の大規模な碾茶炉で加工しています。その規模の大きさは、生産量の豊富さを物語ります。
ほぐしから碾茶の出来上がりまでの工程はこちら

茶農家というのは一般的に茶葉を刈って終わりではなく、荒茶まで仕上げないといけません。
加工された荒茶は、親戚が営む「矢野園」に持ち込まれ、抹茶として仕上げられます。
矢野園は1836年創業の老舗茶問屋で、石臼80台、鉄臼5台を備えた国内屈指の抹茶製造工場。
矢野製茶場の抹茶も、ここで仕上げられています。
その広さを聞くと、 「茶園がいま野球場2つ分。ほんで田んぼも野球場2つ分くらいありますわ。」
この広さイメージできるでしょうか。。。
狭いと感じますか?広いと感じますか?
今回特別に見学させてもらった工場では、入場前に帽子・マスク・制服への着替え、手洗い、エアダスターによる除塵など、徹底した衛生管理が実施されていました。
80台の石臼は「宇治の白」「宇治の昔」「越殿楽」などの銘柄を朝からフル稼働で挽いており、社員の方々は「不純物を入れないこと」を第一に作業しているとのこと。こうして大切に製造された抹茶は缶詰めされ、私たちの手元に届きます。 ただ、近年の抹茶ブームによって工場はフル稼働状態。社員の方も「休みなく働いても追いつかない」と語るほどの繁忙ぶりでした。
次回は、茶談義vol.4 〜生産者インタビュー 野場義尊さんをお楽しみに!
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