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  • 抹茶に「ナッツの風味」を求められるんだけどナニコレ?
抹茶に「ナッツの風味」

なぜ抹茶がナッツのように感じられるのか ― それは悪いことではありません

海外の方が初めて抹茶を口にしたとき、よくこんな表現をされます。

「草のよう」
「海の香りがする」
「ナッツのような風味」

先日も来店されたタイの方に「ナッツの風味がするのはどれか?」という質問を受けました。“ナッツのような風味”という感想は、日本の茶づくりに携わる者にとって少し意外で、とても面白い表現だなと思いました。
私も茶道をほんの少しだけ齧っていますが、抹茶ブームとなる前は“ナッツのような風味”という表現は一切聞きませんでした。
そもそも抹茶は木の枝に生えた葉を加工しているので、ナッツとは程遠いもっとフレッシュな存在です。

というのも、宇治のある程度高級な抹茶(海外の人向けにいうならばCeremonial grade)では、このような香ばしい風味はほとんど感じられないからです。

宇治の茶園

宇治では、収穫前に茶園を覆って日光を遮り、丁寧に蒸し、ゆっくりと乾燥し、石臼でゆっくりと低速挽きします。その速さは1時間に30〜40gというスピードです。これ以上早いと熱が加わり風味が落ちて本来の美味しさからはかけ離れてしまいます。

こうして生まれるのは、濃厚なうま味と自然な甘み、そしてなめらかな口当たり――、香ばしいナッツ感ではありません。

抹茶イラスト ナッツの香りが出る理由

では、なぜ抹茶にナッツのような香りが出るのでしょうか。
その理由は「加工の工程」にあります。

  • 蒸しや乾燥の際に、やや強めの火入れが行われた場合

  • 石臼ではなく機械挽きによって粉砕時に熱が加わった場合(加工用抹茶で使用される場合が多い)

  • 鹿児島など一部地域の製法で、香ばしさを引き出すスタイルが採られた場合

そのお客さんの言う“ナッツのような風味”というのは鹿児島の茶を指しているようだったので、宇治と比較した場合、宇治は鹿児島に比べると「蒸し」にかける時間が短いので草のような風味がします。フレッシュという表現に近いかもしれません。

加工

一方で、鹿児島は「蒸し」にかける時間が宇治より長いので“ナッツのような風味”が出やすくなります。
つまり抹茶にする前の碾茶の段階での加工の違いによって生まれています。
これらによって軽いロースト香が生まれ、ナッツのような印象になるのです。

宇治抹茶では好まれない香りですが、抹茶ラテやお菓子では加糖するので、この苦味とも言える香ばしさがむしろ相性の良いこともあります。

日本人でも抹茶をあまり飲まない人や、抹茶が得意じゃない人の多くは「抹茶=苦い」という印象があるのではないでしょうか。実際に苦い抹茶もありますが、ある程度の価格の抹茶はこの苦味がなく甘味を感じられるほどです。
(こうゆうことを言うとどこかから苦情が来るかもしれませんが、観光寺院のお寺さんなどで苦い抹茶にあたることがあります。色や香りで分かるのですが私のはその時「安い抹茶を使ってるんやなぁ」とちょっと残念に思ったりします。たまにですよ。たまに。飲めない事はないです。)

けど、この苦味が海外の一部の国においては“ナッツのような風味”と称賛の意味で使われることがあります。
これは私たちと海外の方との味覚の違いで、決してどちらが優れていてどちらが劣っていると言うものではありません。
ただ、丁寧に加工された高級な茶葉ほど濃厚な旨味と自然な甘味が際立ち、口当たりがまろやかです。

海外で
「草のよう」、「海の香りがする」
というのがこの高級な抹茶に該当すると考えています。


 

料理用抹茶と儀式用抹茶の違い

日本においてお茶会などで使う高級抹茶のことを、海外の方は「儀式用抹茶(セレモニアルグレード)」と呼びます。
私も抹茶ブームになり海外の方から問い合わせを受けるまで、セレモニアルグレードと言われても全く分かりませんでした。
色々聞いていくうちに、いわゆる私たちがお茶会など来客をもてなす時に使用するランクの抹茶のことだと分かりました。

茶菓子

このセレモニアルグレードは甘みとうま味が際立ち、単独で飲むことを前提にしています。
砂糖や牛乳を加えずとも美味しく飲めるランクの抹茶で、当店が販売しているほぼ8割の商品がセレモニアルグレードに該当します。

一方で、製菓や抹茶ラテ向けの「料理用抹茶(クッキンググレード)」は苦味がやや強く、砂糖やミルクと合わせたときにちょうどよい味わいになります。
このグレードはナッツ風味が出やすい傾向にあります。

抹茶イラスト ナッツ風味が出やすい条件

鹿児島など一部地域や特定の加工工程では、ナッツのような香ばしさが生まれることがあります。

  • 蒸しや乾燥工程で火入れが強めになる

  • 機械挽きで粉砕時に熱がかかる

これらによって「軽いロースト香」が加わり、ナッツのような風味になるのです。宇治抹茶ではこの香りはあまり好まれませんが、料理やラテ用途では逆にこの風味が魅力になる場合もあります。

 

 

味覚は人それぞれ

ナッツの風味

日本人が「甘み」「うま味」と感じる抹茶も、海外の方には「カシューナッツのよう」「ほうれん草とアーモンドを合わせたよう」「海藻のよう」と表現されることがあります。

どれも間違いではなく、食文化や経験の違いから生まれる自然な感想です。

梅干しや納豆があまり好まれないのも味覚の違いといえます。

そうゆう意味では“ナッツのような風味”を求めるならば、安価な加工用抹茶を求めた方が理想に近かったりします。

抹茶イラスト 当店の抹茶

 

 

抹茶の楽しみ方はひとつではありません。

ナッツの香ばしさもまた、世界中の人に愛される抹茶の個性のひとつなのです。

ただ、個人的にはいつかこの“ナッツのような風味”というのは求められなくなってくるのではと思っています。
いま世界各国で起きている抹茶ブームにより多くの人が抹茶の味を経験しています。
その経験を積めば積むほど日本人が、特に宇治の抹茶が追い求める「甘み」「うま味」を理解されていくのではないかなと考えています。

 


 

Why Some Matcha Tastes Nutty ? And Why That’s Not a Bad Thing

 

When people outside Japan first taste matcha, they often try to describe its flavor in familiar terms:

“Grassy.”

“Ocean breeze.”

“Like roasted nuts.”

That last one ? nutty ? often surprises Japanese tea makers. In Uji, where the most prized matcha is grown and crafted, “nutty” isn’t a common flavor. The best leaves are shaded for weeks before harvest, steamed gently, dried with care, and stone-milled at a slow pace. This results in a deep umami, natural sweetness, and a velvety mouthfeel ? not the roasted, nut-like aroma you might expect from coffee or baked goods.

 

抹茶イラスト Where the Nutty Notes Come From

 

So why do some matchas taste nutty?

The answer lies in how the leaves are processed:

  • Heavier steaming or drying can create a light roasted scent.

  • Machine milling generates heat during grinding, which intensifies that roasted character.

  • Some regions, like Kagoshima, use processing styles that naturally bring out this warmth in flavor.

While this is less common in high-grade Uji matcha, it’s more likely to appear in culinary-grade matcha, especially the kind used for lattes, smoothies, or baking.

 

抹茶イラスト Culinary vs. Ceremonial

 

In Japan, matcha for tea ceremonies is called ceremonial grade ? rich, smooth, sweet, and meant to be enjoyed on its own. Culinary-grade matcha, on the other hand, often has more bitterness. When sugar or milk is added, those bolder flavors shine through, and a nutty undertone can actually enhance the recipe.

 

Taste is in the Eye (and Tongue) of the Beholder

Flavor perception is personal ? and cultural. What a Japanese tea drinker calls “sweet umami,” a European might describe as “cashew-like,” while an American might say “like spinach with a touch of almond.” Neither is wrong; they’re simply different interpretations.

 

抹茶イラスト Our Matcha

 

Whether you prefer the elegance of a traditional bowl or the cozy warmth of a matcha latte, there’s a matcha ? nutty or not ? for you.

 


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